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母親が梅毒だと赤ちゃんにも影響する!先天梅毒について

梅毒は治療をせずに放置すると死に至る恐ろしい病気ですが、妊娠中の女性が感染すると母親から胎児に母子感染をすることが知られています。胎児が感染すると死産や流産の危険性が高くなりますし、無事に生まれたとしても誕生後に先天梅毒の症状を発症します。生後3ヶ月以内に発症をする場合は早期先天梅毒、生後2年以降に発症するものを晩期先天梅毒と呼ばれます。

生後3ヶ月以内に起こる早期先天梅毒の症状ですが、手足に特徴的な水ぶくれ(水疱)ができたり鼻や口の周囲にできもの(丘疹状病変)などの症状が出ます。発育不全を起こしたり、血液が混ざった鼻汁が出ることもあります。早期先天梅毒患者の中には髄膜炎・水頭症・けいれんなどを発症して、知的障害を起こす場合もあります。

生後2年以降に発症する晩期先天梅毒では鼻や鼻中隔などにゴム腫性潰瘍ができたり、頭がい骨の前頭骨や頭頂骨が膨らむ骨膜病変などが発症します。晩期先天梅毒では神経梅毒を発症する場合があり、神経の麻痺や視神経が委縮して失明する恐れがあります。他にも眼の角膜に炎症が発症したり、口の周囲の骨の発育異常を起こすことで治療後にブルドッグ様顔貌の後遺症が出る場合もあります。

誕生後に子供が早期先天梅毒や晩期先天梅毒の症状を発症した場合は、抗菌薬(ペニシリン注射剤)で治療が行われます。抗菌薬を投与して完治させることができたとしても、何らかの後遺症が残ってしまう恐れがあります。妊婦が梅毒に感染していると、誕生してくる赤ちゃんにも重大な影響が及ぶことになります。このため、妊婦が産婦人科を受診するとまずはこの検査を勧められます。

胎盤を通して母親から胎児に梅毒が感染する確率は約60~80%と非常に高く、分娩4週間以内の妊娠後期に伝染をする危険性が非常に高くなります。もしも母親が梅毒に感染をしていたことが判明した場合には、分娩4週間よりも前に抗菌薬を使用して完治させておく必要があります。妊娠中の女性が医薬品を服用して治療を受ける場合、薬の成分が胎児に悪影響を及ぼす恐れがあります。そのため、妊婦に投与することができる薬の種類は限られてしまいます。

妊婦が梅毒に感染していることが判明した場合にも、ペニシリン系の抗菌薬で治療が行われます。アモキシシリンなどの合成ペニシリン薬(飲み薬)を服用して治療が行われ、第2期であれば治療期間は8週間です。第3期(感染後3年以上)以降になると治療期間が長くなってしまい、完治までに2~3ヶ月を要します。治療期間が長くなると分娩4週間前までに完治させることができずに、胎児に感染する可能性が高くなるので注意が必要です。

妊婦がペニシリンアレルギーの場合には、アセチルスピラマイシンやエリスロマイシンなどの抗菌薬が使用されます。エリスロマイシンは胎盤を通過することができないため、新生児が梅毒に感染している場合は誕生後に抗菌剤を投与して治療を行う必要があります。

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