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梅毒にかかると感染率が上がるHIV感染症とは

エイズも梅毒と同じように死に至る恐ろしい伝染病ですが、感染力が弱いという特徴があります。健康な状態であれば、1回の性交で感染する確率は1%かそれ以下です。梅毒にかかるとエイズの病原体であるヒト免疫不全ウイルスに感染しやすくなることが知られていて、両方の病原体に重複感染をするケースは少なくありません。

HIVは病原体(ヒト免疫不全ウイルス)が多く含まれる感染者の血液や性分泌液が他の人の粘膜や傷口に触れることで、他の人に伝播します。具体的な感染経路にはコンドームを着用しない性行為や疑似性行為、汚染された血液の輸血・注射針などの使い回しなどがあります。分娩時や授乳による母子感染も、感染経路になる恐れがあります。以前は輸血・血液製剤などの医療行為や母子感染などが原因で伝染するケースがありましたが、日本などの先進国であれば医療行為や母子感染を防ぐことができます。ただし一部の国(中国本土やロシアなど)では病院で注射針の使い回しが行われることで、HIVやB型肝炎などの集団感染が発生するケースがあります。

現在はHIVの主な感染経路は性行為ですが、妊娠の可能性がないという理由でコンドームを着用せずに行われる口腔性交や肛門性交によって感染をするケースが多いです。特に男性の同性愛者の間でHIV感染率が高いことが知られていますが、これはコンドームを着用せずに肛門性交を行う際に出血をすることが原因と考えられています。HIVと梅毒は性行為や血液感染によって伝播する点で、感染経路がよく似ています。

エイズの原因はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染することで、ウィルスが長い年月をかけて体内の免疫細胞を破壊します。免疫力が一定以下になると、全身に炎症や悪性腫瘍などのエイズ特有の症状が発症して最終的に死に至ります。

エイズの原因は、免疫力が低下することで体内の細菌(常在菌)やウィルスが増殖して感染症を起こすことです。健康な人にとっては無害な常在菌やウィルスによって起こる感染症のことを日和見感染症と呼び、これらがエイズの主な死因です。

HIVに感染した直後は十分な免疫力があるので、日和見感染症を起こすことはありません。HIVウィルスに感染すると免疫細胞であるCD4陽性リンパ球やT細胞が破壊されて徐々に免疫力が低下し、免疫力が一定以下になると免疫不全を起こしてエイズが発症します。

免疫力を評価するために、血液中に含まれるCD4陽性リンパ球細胞数を調べる方法があります。健康な人であれば、1μL(1mm四方の立方体)の血液の中に750~1,500個のCD4陽性リンパ球細胞が含まれています。HIVに感染するとCD4陽性リンパ球細胞が破壊されて減少し、200~300個以下に減ると免疫不全になってエイズの症状を発症する可能性が高くなります。このため、血中のCD4陽性リンパ球細胞数が350個/μLを下回るようになると治療を開始する必要があります。

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