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実は歴史がある性病の梅毒

葉の上にある黄色のカプセル

性病というと現代人の病気というイメージが強く、新しい病気に思われるケースが多いようです。性病の中には19世紀後半~20世紀に発見されたものがあり、例えばエイズは1980年代に確認された新しい病気です。これに対して梅毒は歴史が古く、大航海時代のヨーロッパで既に知られていた伝染病のひとつです。

中世のヨーロッパに梅毒と思われる病気が流行した記録があり、最古の記録は1495年にイタリア・ナポリに侵攻したフランス兵の間で発生しました。この病気は短い間にヨーロッパ中に蔓延し、イタリアでは“フランス病”と呼ばれ、フランスでは“イタリア病”、トルコでは“キリスト教徒の病”などように呼ばれました。この当時からこの病気は性交渉によって伝染をすることが知られており、患者に対する偏見や差別が存在していました。

日本国内で梅毒が確認された最古の記録は1512年で、中国大陸を経由して国内に伝わったと見られています。日本最古の記録は、1512年に歌人・三条西実隆が唐瘡(からがさ)と呼ばれる病気についての歌を詠んだものです。この病気は日本国内でも蔓延し、加藤清正・結城秀康(徳川秀忠の兄)・前田利長・浅野幸長などの戦国武将も発病したと見られています。身分の高い戦国武将にも感染したほどなので、戦国時代には既に一般庶民の間でも流行していたことが推察されます。

江戸時代になると吉原などの遊郭を中心に一般庶民の間で大流行し、有効な治療薬であるペニシリン系抗生物質が普及する1940年後半までの間に多くの人命が失われました。ちなみに種子島に鉄砲が伝来したのは1543年で、歴史的には性病の方が鉄砲よりも先に日本に伝わったことになります。このことにちなんで、江戸時代の吉原では最下級の遊女のことを“鉄砲”という隠語で呼ぶ習慣がありました。

1940年代にペニシリン系の治療薬が発売されるまでは、梅毒に有効な治療薬はほとんどありませんでした。それでも中世のヨーロッパでは、水銀を用いた治療法が存在しました。水銀の蒸気を吸入するほか、皮膚に塗布したり水銀塩を服用するなどの方法で治療が行われていました。この治療法はほとんど効果がないばかりか、患者は水銀の中毒症状に苦しむことになりました。それでも当時は、水銀の中毒症状が重いほど梅毒に効くと考えられていました。

梅毒の起源として、先コロンブス説とコロンブス説が考えられています。コロンブス説とは、コロンブスが新大陸を発見した時に同行した兵士によりヨーロッパに持ち込まれたという説です。1495年にイタリアに侵攻した兵士の中にはコロンブスと同行した人も含まれていますし、新大陸発見よりも前には梅毒が流行した記録が存在しないことは、コロンブス説を支持しています。

先コロンブス説とは、アメリカ大陸が発見されるよりも以前に既にヨーロッパに梅毒が存在していたという説です。先コロンブス説の根拠のひとつとして、コロンブス以前の時代の墓から変形した骨が発掘されています。ただしハンセン病でも骨が変形する場合があるので、梅毒の影響であると断定することはできません。

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